AIに仕事を奪われるか問題について本音で書く
「AIにエンジニアの仕事が奪われる」という話は、もう何年も前から言われている。
私はエンジニアとして日常的に AI を使い倒している側の人間だ。コードを書くときも、記事を書くときも、アイデアを整理するときも、ほぼ必ず AI に問いかけている。そんな立場から、この問題について本音を書いてみたい。
実際に AI で代替された作業がある
正直に言う。私がかつて1日かけてやっていた作業の一部は、今は AI が30分でやってくれる。
例えばボイラープレートのコード生成。CRUD の基本実装、API クライアントのたたき台、テストの基本ケース。こういった「書くのはわかるけど面倒な」作業は、ほぼ AI に委ねている。
ドキュメントの読解も変わった。英語の仕様書を自分で格闘する時間が激減した。「この関数の使い方を教えて」「このエラーの原因は何か」を AI に聞けば、数秒で答えが返ってくる。
これらは確かに「仕事の一部」だった。そして今は AI がやっている。
でも、「仕事」がなくなったとは思っていない
ここが重要なポイントだ。
作業が減っても、仕事がなくなったわけではない。むしろ、より高度な判断を求められる部分に集中できるようになった感覚がある。
「何を作るか」「どの設計にするか」「このトレードオフをどう評価するか」。こういった判断は、今のところ AI には任せられない。AI は選択肢を出してくれるが、最終的な責任を持って決める人間が必要だ。
私が講師として教えるとき、プログラミングの技術よりも「何のために作るか」「誰の問題を解くか」という思考を重視しているのも、このためだ。
奪われるのは「単純作業」であって「職業」ではない
「AIにエンジニアの仕事が奪われる」という文脈で語られるのは、たいていコーディングという行為そのものだ。
しかし、エンジニアの仕事はコーディングだけではない。要件定義、設計判断、チームのコミュニケーション、クライアントへの説明、リリース判断、障害対応、技術選定。これらのすべてが「仕事」だ。
そして現状、AI はコードを書く部分しか支援できていない。むしろコードを書く時間が減ることで、それ以外の仕事に使える時間が増えた、というのが私の実感だ。
怖いのはAIではなく「思考を止めること」
私がリアルに感じているリスクは別のところにある。
AI に頼り続けると、「なぜこのコードが動くのか」を理解しなくなる危険がある。コードが出てきた、動いた、以上。それを繰り返すと、障害対応のときに何も思考できない人間ができあがる。
私は意識的に「AI が出したコードを自分の言葉で説明できるか」を確認するようにしている。説明できなければ、それはまだ自分の知識になっていない。
AI をツールとして使いこなす人間と、AI の出力に思考を丸投げする人間。その差がこれからの5年で大きく開くだろうと感じている。
結局、どうすればいいか
私の考えはシンプルだ。
AI を使いながら、自分の思考を手放さないこと。AI が出した答えに「なぜ?」と問いかけ続けること。そして、AI が苦手な「文脈を理解した判断」「人間関係の調整」「価値観に基づく選択」に自分の時間を投資すること。
仕事が奪われるかどうかは、AI の進化より自分の適応力の問題だと思っている。
今のところ、私の仕事は減っていない。むしろ楽しくなっている。