フリーランスにならない理由、会社員を選ぶ理由
エンジニアとして31歳になった今、「なんでフリーランスにならないの?」と聞かれることが増えた。
確かに在宅ワーク中心の生活で、個人開発もしていて、副業として講師業もやっている。そう聞けば、フリーランスに近い働き方のように見えるかもしれない。でも私は今のところ、会社員を続けることを選んでいる。
その理由を正直に書いてみる。
フリーランスのメリットは理解している
誤解してほしくないのだが、フリーランスを否定したいわけじゃない。
自由な時間に働ける、案件を自分で選べる、収入の上限がない、組織の理不尽な意思決定に縛られない。これらは本物のメリットだと思う。フリーランスで活躍している知人たちを見て、素直に羨ましいと感じることもある。
それでも私が会社員を続ける理由は、いくつかある。
理由1:妻の存在と「安定」の価値観
妻が数年前に体の不調を経験したことがある。そのとき、収入の安定がどれほど精神的な余裕をもたらすかを痛感した。
フリーランスの収入は、自分の努力次第で大きくできる。でも、体調を崩したとき、案件が途切れたとき、メンタルが落ちたとき、収入は止まる。
会社員であれば、多少の体調不良や停滞期があっても給与は入り続ける。この「床」があることで、私も妻も精神的に落ち着いて生活できている。価値観の問題だが、私たちにとってこれは小さくない。
理由2:チームで仕事をする面白さを手放したくない
在宅ワークとはいえ、チームで一つのプロダクトを作る経験は、フリーランスでは得にくい。
仕様の議論、コードレビュー、設計判断の共有、インシデント対応。こういった「チームで動く」場面で学べることは多い。一人で完結できる仕事より、複数人で複雑な問題を解く仕事の方が、技術的にも人間的にも成長できると感じている。
フリーランスになるとチームに入れることもあるが、あくまで外部の立場だ。その距離感では体験できない密度がある。
理由3:副業として「外」を経験できている
今の私には、講師業と個人開発という「外の経験」がある。
これが会社員でいることの閉塞感を和らげてくれている。本業では組織の中でチームプレーヤーとして仕事をし、副業では完全に自分の裁量でコンテンツを作り教える。個人開発ではゼロからプロダクトを作る。
この三つを並行して持てているので、「フリーランスになって自由を得なければ」という焦りがそれほどない。もし本業だけしかなければ、フリーランスへの衝動はもっと強かっただろう。
理由4:社会保険と確定申告の現実
少し現実的な話もしておこう。
フリーランスになると、社会保険は自分で全額負担、確定申告も自分でやる。経費の管理、インボイス制度への対応、青色申告の手続き。これらに使うエネルギーは、私にとって本業・副業のどちらにも回したい時間だ。
今は会社が社会保険を半額負担してくれて、年末調整もやってくれる。この「バックオフィス」を手放すコストを、真剣に考えたことがある。少なくとも今の生活スタイルでは、そのコストの方が大きいと感じた。
「フリーランスになるべき」という呪縛について
エンジニアのコミュニティにいると、「フリーランス=自由で成功した人」というイメージが強い。会社員でいることが、何か負けているかのような空気を感じることもある。
でも、それは単なる文化的なバイアスだと思う。会社員にしかできない仕事があり、会社員にしか得られない安定がある。それを価値として選んでいるだけだ。
フリーランスが向いている人はフリーランスになればいい。会社員が合っている人は会社員でいればいい。自分のライフスタイル、価値観、家族の状況を踏まえて選ぶものだと、私は思っている。
今の私は会社員を続けながら、外側のプロジェクトで自由を楽しんでいる。それが今の正解だ。