エンジニアが副業で講師をやるメリット
エンジニアが副業をするといえば、フリーランスで開発案件を受けるか、個人でサービスを作るか、というのが一般的なイメージだと思う。
私はそれに加えて「講師業」をやっている。プログラミングを教える仕事だ。最初は「教えることに向いているのか」という不安もあったが、今では講師をやっていてよかったと心から思っている。
その理由を書いてみたい。
一番の収穫は「自分の理解の解像度が上がる」こと
講師業をやり始めて最初に気づいたことは、「自分がわかったつもりでわかっていなかったことがたくさんある」ということだった。
例えば、変数スコープの説明を初心者にしようとしたとき。私は「ローカル変数とグローバル変数があって、スコープの外では参照できない」という説明をしようとした。でも、相手が「なぜ外から見えないのか」と聞いたとき、うまく答えられなかった。
動くコードは書ける。でも「なぜそう動くのか」を人に伝えられるレベルで理解しているかどうかは別問題だ。
教えようとすると、この差が一気に露わになる。そして「うまく説明できなかった」という体験が、自分の勉強の原動力になる。
初心者の「わからなさ」から学べること
長年エンジニアをやっていると、初心者のつまずきポイントが見えなくなってくる。「そこがわからないの?」と感じる瞬間があるが、それは自分がかつてつまずいたことを忘れているだけだ。
初心者の質問に答えていると、「そういえば自分もここでハマったことがある」という発見が続く。それが自分の理解を掘り直すきっかけになる。
また、生徒が間違った方向に考えているとき、「なぜそう考えたのか」を聞くと面白い。自分には思いつかないメンタルモデルで物事を捉えている場合があり、それが設計やUXへの視野を広げてくれることがある。
コミュニケーション力が上がる
エンジニアの仕事で意外と大事なのが「説明力」だ。
技術を知らないクライアントに仕様を説明する。チームメンバーに設計の意図を伝える。障害報告をする。どれも「技術を人に伝える」作業だ。
講師をやっていると、この力が鍛えられる。難しい概念を噛み砕いて伝える訓練を積んでいくと、本業での説明も自然とうまくなっていく。
「わかりやすい説明ができるエンジニア」は重宝される。技術力が同じなら、伝える力がある方が信頼される。
副業収入だけが目的じゃない
講師業の収入はそれなりにある。でも今の私にとって、お金よりも大きな価値は「知識を整理するサイクル」が生まれることだ。
授業の準備をするたびに、自分の知識を棚卸しする。「この単元の説明をどう組み立てるか」を考えることで、自分の中で情報が整理される。これはブログを書くことに近いが、授業の場合はリアルタイムで質問が飛んでくるので、さらに密度が高い。
在宅ワーク中心の生活では、人と話す機会が減りがちだ。講師業はその面でも、人と関わる時間として機能してくれている。
向いている人・向いていない人
正直に言えば、講師業は誰にでも向いているわけではない。
「教えることが楽しいと感じるかどうか」が大きい。私は誰かの「わかった!」という瞬間に立ち会えることが、シンプルに嬉しい。その感覚がない人には、苦痛になるかもしれない。
また、説明しながら「なぜ」を問い続けるのが苦手な人も難しい。講師業は教える側が一番勉強させられる仕事だからだ。
「教えること」は「学ぶこと」の別名
私が講師業を続けている最大の理由は、これに尽きる。
誰かに教えることは、自分が学ぶことだ。教え続けている限り、自分の成長が止まらない。
副業として時間とお金を使うなら、自分の成長にもなるものを選んだ方がいい。エンジニアが講師業をやる理由として、私はそれが一番大きいと思っている。