31歳エンジニアがPremiere Pro勉強会のシラバスをAIで自動生成した話

31歳エンジニアがPremiere Pro勉強会のシラバスをAIで自動生成した話

前職でPremiere Proの社内勉強会を担当することになった。自分はエンジニアで動画編集の専門家ではない。でも「動画マーケティングを強化したい」という方針から、技術に詳しいという理由で白羽の矢が立った。

ゼロから12時間分のシラバスを作る時間もない。そこでAIを使ってシラバスを生成し、自分はその質のチェックと実習課題の設計に集中した。

やったこと

シラバス生成に使ったのはClaude(Anthropic)。Premiere Proの公式ドキュメントと、Adobeのチュートリアル動画のタイトル一覧を参照資料として与えた上で、プロンプトを組んだ。

最初に試したプロンプト(ざっくり版):

Premiere Proの入門〜中級者向け社内勉強会のシラバスを作ってください。
対象: 動画編集経験のない社員
期間: 全6回(各2時間)
ゴール: 会社のSNS用ショート動画を自分で作れるようになること

このくらいザックリでも骨格はできる。でも「実務で使えるか」という観点が甘かった。

シラバスの精度を上げるために追加した情報

2回目のプロンプトで以下を追加した:

以下の条件を追加してください:
- 参加者は30代〜50代の非エンジニア
- PCは会社貸与のWindows。Premiere Proはすでにインストール済み
- 最終成果物: 60秒以内の製品紹介動画
- 毎回の勉強会で「持ち帰り課題」を設定すること
- 各セッションの最初15分は前回の課題レビューに充てること

具体的な制約を与えるほど使えるシラバスになる。「60秒以内の製品紹介動画」という具体的なゴールが、各回の内容の取捨選択に効いてくる。

生成されたシラバス(抜粋)

AIが生成したシラバスの骨格:

【第1回】Premiere Proの基本操作(2時間)
├── プロジェクトの作成と設定(30分)
├── メディアの読み込みとプロジェクトパネル(30分)
├── タイムラインへの配置と基本カット(40分)
└── 書き出し(H.264/1080p)(20分)
持ち帰り課題: スマホで撮影した10秒動画を読み込み、3カットに編集して書き出す

【第2回】映像編集の基礎テクニック(2時間)
├── カット編集の基本(トリミング、リップル削除)(40分)
├── BGMの挿入と音量調整(30分)
├── テロップ(テキスト)の挿入(30分)
└── 実習:製品紹介動画の第1稿を作る(20分)
持ち帰り課題: 30秒の製品紹介動画を作成する

...(以下略)

骨格としては十分使える。自分がゼロから作ったら倍の時間がかかっていた。

AIが生成したシラバスの弱点

良いシラバスだったが、実際に使う前にいくつか修正した:

1. 順序が学習者の実態に合っていなかった

AIは論理的な順序でシラバスを組むが、「Windowsのショートカットを知らない人」が参加者にいることは加味されていない。第1回の冒頭に「Premiere Proの画面の見方」だけでなく「ファイルをフォルダで管理する基本」を入れた。

2. 時間の見積もりが楽観的すぎた

AIが「30分」と書いた項目が、実際のハンズオンでは50分かかった。非エンジニアが手を動かす速度を過小評価しがち。AIが生成した時間配分に1.5倍のバッファをかけた。

3. 「つまずきポイント」が不足していた

「ここで絶対つまずく」という実務的な経験知はAIには書けない。例えば「書き出し時にMedia Encoderが自動起動して何をすればいいかわからなくなる」という現象はAIのシラバスには書いていない。自分で補足した。

実際の作業時間の比較

| 作業 | AI活用なし(見積もり) | AI活用あり(実績) |

|——|———————|—————–|

| シラバスの骨格作成 | 3〜4時間 | 30分 |

| レビューと修正 | 1時間 | 2時間 |

| 実習課題設計 | 2時間 | 2時間 |

| 合計 | 6〜7時間 | 4.5時間 |

骨格を作る時間は大幅に削減できた。ただレビューと修正に時間がかかる。AIが生成したものを鵜呑みにすると質が落ちるので、自分の目で確認する工程は省けない。

プロンプトエンジニアリングより「何を確認するか」が大事

シラバス生成で使ったプロンプトより、「生成されたシラバスの何を確認すべきか」のチェックリストを作る方が価値があった:

  • 対象者のリテラシーに合っているか
  • 時間の見積もりは現実的か
  • 各回に実習が入っているか
  • 持ち帰り課題が実務に直結しているか
  • つまずきポイントへの言及があるか
  • AIの出力を評価できる「目」を持っていることが、AI活用の本当の価値だと感じた。

    まとめ

    AIでシラバスを生成した経験から:

  • **骨格の作成はAIに任せる**:ゼロから考えるより圧倒的に速い
  • **具体的な制約を与える**:参加者の属性、最終成果物、時間制約を細かく指定
  • **生成後のレビューに時間をかける**:AIが出した時間配分は楽観的
  • **実務的な「つまずきポイント」は自分で補う**:経験知はAIには書けない
  • 「AIがシラバスを作った」ではなく「AIを使って自分がシラバスを作った」という感覚が正しい。自分の知識と組み合わせて初めてちゃんと使えるものになる。